2003年の秋の話ですが、新聞を読んでいたらメキシコのバヒオ地区(グァナファト州やケレタロ州など)の社長の平均月収がメキシコシティの平均を超えたと言う記事を発見しました。
なんて話をなぜ書くかというと、もちろん平均月収となっていた数字が想像を超えるものであったからです。(年収ではなく何故か月収なのがメキシコ的なのかなと思いながら...)
「バヒオ地区の平均月収は250万円!」
思わず年収かと思って記事を読み直し、桁数を何度も数えてしまいましたが月収の数字で間違いありません。
一人当たりの国内総生産(GDP)は、日本がUS$37,566.304、アメリカがUS$41,916.596、メキシコがUS$6,770.575(いずれの数値もIMFのReport for Selected Countries and Subjects [2005年] から引用)を考えてみても、記事を読んだら大抵の人が自分の目を疑うのではないでしょうか。
この月収って日本の社長の平均月収と変わらない、もしかすると日本の平均を超えているのでは...とか想像しつつ、日々メキシコの貧富の差を見て来た私には妙に考えさせられる数値でありました。
貧富の差と言っても、メキシコの場合日本のような貧乏に対する恐怖や圧力を感じることはないと思うんですが、メキシコでは北米自由貿易協定(通称NAFTA)が発効された1994年以降、商品の選択肢が増え、高級品を自由に輸入できるようになった(と言っても制限付)のでお金持ちが目立つようになったという話を聞いたことがあります。
例えばNAFTA以前は車の輸入も制限されていたそうで、アメリカで購入した車をメキシコ国内に持ち込めないとか(自動車に関しては未だに厳しい条件付で輸入が許可されている)、NAFTA以降、いわゆる高級車であるジャガーやメルセデスベンツなどが国内のディーラーから購入できるようになったため、今日のメキシコは新型のジャガーの脇を1970年代のDATSUNが白煙をあげながら走っていることが珍しくありません。
また高級車は防弾ガラス仕様とすることケースが多い(費用はUS$16,000~)とか雑誌で紹介されていたり、いくらメキシコは物価が安いと言っても、新型のメルセデス(軽く1千万円を超える)を買えるということはそれなりの収入が必要なはず。そんな車に乗っていたら目立ちますから、防弾ガラスを着けるのも納得です。
ちなみに(私の知る限り)いわゆる高級ブランドと呼ばれるCHANELやLOUIS VUITTONのお店はメキシコ国内にはなく、メキシコのお金持ちが高級品を買うのは海外というのが常のようです。と言うことは、メキシコではチケットも日本やアメリカのように安くないので(私の感覚では約1.5倍)、メキシコでブランドバックを持っている人は真のお金持ちと言えそうですね。