学生時代にワープロを使用したことはあっても、当時パソコンと言う言葉さえ知らなかった私がパソコンを購入したのは1995年11月のことです。
Windows 95の発売前に購入したため「Windows 3.1」からのパソコン利用歴ですが、とにかく通信販売用のカタログを作りたいと言う目的で、秋葉原のラオックスで店員さんの説明もよく分からないままIBM Aptivaを買った日のことを今でも思い出すことができます。
インターネットが普及していなかった1995年の日本は、円高と言う背景もあり海外の通信販売がちょっとしたブームになっていました。海外通販のマニュアル本が出たり、アメリカなどの有名通販ブランドが雑誌でも特集され、掲載されている英文の雛形を用いれば誰でも簡単に購入できると言った内容がほとんどで、当時日本にカスタマーセンターを置くアメリカの大手通販会社も少なくありませんでした。
しかし、実際は英語カタログの説明文を理解してFAXや郵便で商品を注文しなくてはならず、万が一トラブルが起きてしまうと電話やFAXで交渉しなくてはなりません(海外通販に一定の英語力が求められることは明らかでした)。
そこで日本市場に進出したい通販会社は必ず存在し、日本にカスタマーサービスセンターを置いて利用者の不安を取り除くことができれば、海外通販市場はもっと広がると考えた私は、1995年初夏、アメリカの通販会社約250社にビジネスメール(DM)を送り、円高やアメリカの通販会社は小規模なファミリー経営が多いこともあって予想を超える30社程の企業が関心を示してくれました。事前にDMのレスポンス率は3%程度という統計を読み、ましてや海外とビジネスをできるチャンスだと考えた私は、約30社が関心を示してくれただけで自分のビジネスが成功するかのように思えて、嬉しくて嬉しくて仕方ありませんでした。
「とにかく社長に会わないと先には進まない」と考え、同年9月に渡米して、好条件とは言えなくとも日本未進出の3社からビジネス条件を提示してもらっい、帰国して早速3社の市場調査も兼ねてサンプリング的に英語カタログを配布してみることにしました。そこで日本語の説明書作りのためにパソコンが必要になったのですけど、いざパソコンを使おうと思っても知識がないため、実際は一から学習しなくてはならず四苦八苦する日々でした。
そんな頃、友達からインターネットのことを教えてもらい、(こんなことを言うと馬鹿にされるでしょうが)日本からNew York TimesのWebサイトやFax版を読むことができたり、メキシコのグァナファト大学のサイトに接続できた時は、まるで自分がアメリカやメキシコにいるようで本当に感動しました。そこでインターネットの無限の可能性を感じた私は、アメリカの通販会社が直接日本の消費者に接することが容易になり、現地に日本語で対応できる従業員がいれば、わざわざ日本にカスタマサポートセンターを置く必要性は低くなると考え、結局カタログをサンプリングするだけで、早々と海外通販関連のビジネスの可能性を否定してしまいました。
ちなみに当時「Bargain America(www.bamerica.com)」がアメリカの通販会社のショッピングモール事業を始め脚光を浴びましたが、現在は会社自体が売却され、別の事業を行っているようです。