アメリカのほとんどの街では、車なしで生活するのは不便だ。
しかも年間数万キロも車を走らせることが珍しくないので、信頼できる自動車修理工(mechanic、以下メカニック)の存在は不可欠です。
アメリカでは、結構いい加減なメカニックが多いことから自分でオイル交換や簡単な修理をする人が少なくなく、自分自身もアメリカに住んでから車の構造に少し詳しくなりました。実際カー用品店「AutoZone」に行くと排気系統の部品やラジエターなど、自分で修理するのかと疑うような部品が売られています。
しかし信頼できるメカニックと言われても知人すらいない土地で見当がつく筈もありません。
生活して間もない頃にAdult Schoolで知り合い、スペイン語の発音の先生(?)であったニカラグア出身のおばさんが教えてくれたので、大変助かりました(スペイン語圏の人に尋ねたのは、スペイン語圏のアミーゴ・アミーガを作りたかったから)。
と言ってもおばさんは「誠実で腕がよいアジア系のメカニック(ヒスパニック系のためアジア人の区別がつかない)」とだけ教えてくれただけで、初めてのオイル交換のためにメカニックのところを訪れました。工場はアフリカ系アメリカ人が多く住む地域にあるためアフリカ系アメリカ人のお客さんが多いこともあり、何となく一抹の不安を感じつつ...
そこは韓国人オーナーと韓国人メカニック1人の小さな修理工場で、あの日の夕方すぐに親しみを感じたことを今でも思い出します。
韓国人オーナーに一度「日本人のお客さんがいるか」と尋ねたことがあります。
オーナーいわく日本人もたまにやって来るが、日本人は「○○を修理して欲しい。いくらかかる?」と聞くので、彼が「△△ドル」と答えると、「OK! 相応な料金だね。また来る」と言い残すだけで、二度と現れることはないそうです。これを聞いて思わず噴出してしまいました。
さて私が唯一の彼の日本人客だと判明した訳ですが、オーナーは部品と工賃料込みの合計金額を提示するのが常なので、日本の感覚ではアバウトだから日本人との商談が成立しないのかもしれません。
調子に乗って韓国人について聞くと、韓国人はとにかく値切ろうとするから少し高めの料金を予め提示して、少しディスカウントして交渉をまとめるテクニックが必要とのこと。
そしてアフリカ系アメリカ人はアメリカで育ったから「いわゆるアメリカ人」と同じ感覚だけど、移民して来たアフリカ人は大きく異なり、自分で安い部品を探して来て「▲▲ドルで直してくれ」と無理難題を吹っ掛けられることも少なくなく、最も手強いお客さんとのことでした。
人種の坩堝、移民の国アメリカでは、商売をする上で相手の国民性なども知らなくてはならないようです。
なんてことを考えると、アメリカの企業は既に国内のマーケットで他民族相手にビジネスをしているのだから、海外に進出する上で有利なのかもしれません。